約 3,810,861 件
https://w.atwiki.jp/rozenmaidenhumanss/pages/3093.html
https://w.atwiki.jp/dq_dictionary_2han/pages/4946.html
概要 ゲームのデータをコピーする行為を禁止するシステム。 DS作品において違法コピー対策として実装されているものと、トルネコ3にてゲームバランス調整として実装されているものが存在する。 Ⅴ(DS版)・Ⅵ(DS版)・Ⅸ 所謂「マジコン」を用いたプレイへの対策。 以前からDSソフトのROMを不正にバックアップしたり、違法コピーされたバックアップファイルを「マジックコンピュータ」(通称マジコン)と呼ばれる特殊な機械を用いてプレイする行為が、多くの心無いプレイヤーによって行われていた。 当然ながらメーカー側も黙っているわけではなく様々な対策を行っている。 ドラクエシリーズにおいてもDS版Ⅴで初めてマジコン対策としてコピーガードが施された。 内容は不正にコピーされたソフトでゲームを始めると、いつまでたっても船が最初のビスタ港に着かないというもの。 既に正規発売日の前日の16日頃からネット上に違法コピーデータが出回っていたらしいが、 このデータでプレイした数人が前述の内容をネット掲示板に書き込んだため「ついにメーカー側も対策を仕込んだか」などと話題になった。 しかしながら、マジコンユーザー側もすぐさま対策に乗り出し、結局正規発売開始からわずか6時間後にコピーガードを破る改造コードが出回った為、ザル警備同然になってしまった。 Ⅸにおいては、違法データで起動すると最序盤でフリーズを起こすようになっていたが、やはりあっさり突破されてしまった。 DS版ⅥにおいてもⅤと同様の措置が取られた。 不正なROMと判断されると、オープニングのムドー城のイベントを済ませてもターニアに起こしてもらえず、延々と悪夢の中を彷徨うハメになる。 しかし、こちらもやはり以下同文。 結局のところメーカー側とマジコンユーザー側のいたちごっこが続いているのが現状のようである。 無論ドラクエ、いやゲームを本当に愛する者であるならばこのような違法なコピーデータなどには絶対に手を出してはいけない。 また、現実における出来事を皮肉ったジョーク記事で知られている「虚構新聞社」においても、ドラクエⅨのマジコン対策をネタにしたジョーク記事が掲載されたが、これが本当だったら良かったのにと思った人も多いかもしれない。 なお、違法コピーデータの配信やダウンロードは当然ながら法律で禁じられており、現在のゲームは必ず起動直後にこれらの行為を禁止する注意書きが表示されるようになっている。 トルネコ3(PS2版) 別のメモリーカードにデータをコピーすることを禁止するというシステム。 何故このような措置が取られているかというと、理由の一つとして【アイテム交換所】の存在が挙げられる。 このアイテム交換所は同じメモリーカード、または違うメモリーカード内の異なる冒険の書同士でアイテム交換ができるというものだが、 もしデータのコピーを許してしまった場合、アイテムの複製が可能となってしまうからだ。 そして、本命と思われる理由がもう一つあり、「冒険に保険をかけることを防ぐ」という理由がある。 エンディング後のダンジョンや【バリナボチャレンジモード】では、ダンジョンに入る前に強制セーブがされ、中断をせずに電源を切ると強制的にダンジョン内で倒れたことにされる仕様がなされている。 貴重なアイテムを持ち込んで倒れてしまった場合、「リセットをしてアイテムを失った事を無かったことにする」という行為ができないのだ。 しかし、冒険の書のコピーを許してしまうとこれらの仕様はまったく意味が無くなってしまう。 この保険をかけるという行為は持ち込み不可ダンジョンでも有効で、 「特定の階層で中断した後にそのデータをコピーして、途中で倒れてしまったらそのコピーしたデータからやり直す」という暴挙も可能。 なお、トルネコ2ではデータのコピーは可能となっており、公式攻略本でもテクニックの一つとして紹介されている。 公式でコピーが認められていた2から随分と厳しくなったように見えるが(難易度という点では相当厳しくなってはいるが)、不思議のダンジョンシリーズではトルネコ2のように保険をかけられる作品の方が珍しい。 (エンディング前のダンジョンでは保険をかけられる作品も少なくは無いのだが) 実例として、トルネコ1ではゲーム内で冒険の書の複製は可能だが、ダンジョンで中断したデータを複製するとその冒険は無かったことになる仕様。 また、ダンジョン内はオートセーブがなされ、冒険の保険はかけられないようになっている。
https://w.atwiki.jp/digimon_crusader/pages/172.html
エリア デジモン 出現 種族 HP ターン 攻擊 防禦 Exp Bit アイテム ドロップ タマゴ 荒地に潜む聖獣 3~4体 エンジェモン 69% 神聖 932 4 812 14 160 117 中型(黃) 36% 25.2% ホーリーエンジェモン 25% 神聖 968 5 1010 28 160 134 中型(黃) 36% 1.2% ファントモン 3% 暗黒 1022 5 1114 25 160 145 中型(紫) 36% 1.2% エテモン 3% 自然 621 5 932 28 160 319 中型(緑) 36% 1.2% 7階 ホーリーエンジェモン(BOSS) 神聖 4368 5 1356 42 264 214 中型(黃) 60% 0% 聖なる者の粛清 3~4体 テイルモン 69% 神聖 898 4 772 11 160 112 中型(黃) 36% 30% チィリンモン 25% 神聖 996 6 1167 22 160 145 中型(黃) 36% 1.2% ファントモン 3% 暗黒 1022 5 1114 25 160 145 中型(紫) 36% 1.2% エテモン 3% 自然 621 5 932 28 160 319 中型(緑) 36% 1.2% 7階 チィリンモン(BOSS) 神聖 4448 6 1541 36 264 227 中型(黃) 60% 0% 悟りしもの 3~4体 エンジェモン 69% 神聖 932 4 812 14 160 117 中型(黃) 36% 25.2% シャカモン 25% 神聖 1134 5 1204 33 160 159 中型(黃) 36% 0% ファントモン 3% 暗黒 1022 5 1114 25 160 145 中型(紫) 36% 1.2% エテモン 3% 自然 621 5 932 28 160 319 中型(緑) 36% 1.2% 7階 シャカモン(BOSS) 神聖 4840 5 1584 49 264 244 中型(黃) 60% 0%
https://w.atwiki.jp/boktaiwords/pages/35.html
(うつぶせているジャンゴ) ??? 「・・・ ジャンゴ・・・ ジャンゴ!! 死ぬんじゃない! 目を覚ますんだ、 太陽少年ジャンゴ!!」 (声に気がつき起き上がるジャンゴ 目の前には???が居る) ??? 「気がついたか、ジャンゴ? ふう・・・ 今回ばかりはヴァンパイアの血に助けられたようだな こんなことになろうとは・・・」 (立ち上がるジャンゴ 沈黙の吹出しが出る) ??? 「なにっ、覚えていない? 軽い記憶喪失のようだな・・・ だがまさか・・・ 共に闇の一族(イモータル)と戦ってきた、わたしのことまでわすれてはいないだろうな? わたしは太陽の使者、おてんこだ とにかく・・・ まずはこの地下牢獄から脱出するんだ」 おてんこさま 「いいか、ジャンゴ 画面左上のLIFE(ライフゲージ)は、おまえの生命力をあらわす 敵からの攻撃などによりダメージを受ければライフは減少し、 ライフがゼロになればゲームオーバーだ LIFEの下にあるENE(エナジーゲージ)は、おまえの精神力をあらわす おまえの武器、太陽銃(ガン・デル・ソル)は魔法機械・・・ エナジーなくしては使えない どこかでエナジーを回復しなければ・・・ 行くぞ、 太陽少年ジャンゴ!! 太陽と共にあらんことを!」 (階段を上ろうとするジャンゴを静止するおてんこさま) おてんこさま 「ジャンゴ、右を見てみろ あそこに見えるのは宝箱じゃないか? 何かアイテムが入っているかもしれん。調べてみてはどうだ? 近づいてAボタンを押せば宝箱を開けることができるぞ」 (部屋の隅の宝箱を開けるジャンゴに) おてんこさま 「アイテムを手に入れたようだな それは太陽樹の周りでのみ育つという太陽の果実、 その中でも特にエナジーが豊富な太陽の実だ 太陽の実を使ってエナジーを回復すれば、 太陽銃(ガン・デル・ソル)を使うことができる アイテムを使うには、STARTボタンでメニュー画面を開き、 L・Rボタンでアイテムメニューを選択して、[つかう]を実行すればいい」 (階段を上がったジャンゴに) おてんこさま 「待て、ジャンゴ!!」 おてんこさま 「あれを見てみろ あれは闇の一族(イモータル)の下僕たる、アンデッド(死者)タイプのモンスター、 グールだ 多くの敵モンスターは視覚と聴覚を持つ 正面から近づけば、当然発見され攻撃を受けることになるが、 背後からであれば、そのまま戦わずにやりすごすことも、 先制攻撃をしかけることも可能だ 背後からの攻撃は、 敵モンスターにより多くのダメージをあたえることができるぞ 今おまえが装備している太陽銃(ガン・デル・ソル)は Bボタンを押すと銃をかまえ、はなすと太陽ショットを放つ まずはあのグールに、背後攻撃を試してみてはどうだ?」 (天窓のある広い部屋についたジャンゴに) おてんこさま 「ジャンゴ、 天窓があるぞ! 太陽少年であるおまえのエナジーは、太陽の光を浴びてさえいれば自然に回復する 画面の下中央にあるSUN(太陽ゲージ)は、 太陽センサーがキャッチした、太陽の光の強さをあらわしている 太陽ゲージの値が高ければ、その分エナジーの回復も早いぞ さらにAボタンを押して太陽チャージを行えば、急速な回復も可能だ だが、太陽の光のとどかない屋内エリアではそうはいかない いくら太陽ゲージの値が高くても、エナジーが回復することはない そこで役に立つのが天窓だ 天窓の光の下であれば、 屋外エリアと同様にエナジーを回復することができるぞ (太陽ゲージが1以上) まだまだ先は長い。 今のうちにしっかり回復しておけよ?」 (太陽ゲージが0) もっとも太陽ゲージがゼロでは天窓の光すらあらわれないか・・・」 (部屋の壁にあるヒントパネルを見付けて) おてんこさま 「これはヒントパネルだな ヒントパネルは、先人がのこした冒険者への道しるべだ 冒険に必要な基本的な知識や 困難を乗りこえるためのヒントを教えてくれる パネルに近づいてAボタンを押せば、読むことができるぞ」 (天窓のある広い部屋のヒントパネルに残されたメッセージ) [見回し] Rボタンを押しながら+ボタンを動かせば、自分の周りを見回すことができる 冒険者たる者、 新しいエリアではまず、周囲の状況を確認せよ (移動ブロックのある部屋のヒントパネル) [移動ブロック] 木箱などの移動ブロックは、 ブロックに向かって+ボタンを押し続けることで、移動させることができる 冒険者たる者、道は自らの手で切り開け (移動ブロックのある部屋にて) おてんこさま 「ふむ・・・ 通路というには細すぎるが、壁にはりついて移動すれば問題なかろう 壁に向かって+ボタンを押しっぱなしにすれば壁にはりつくことができる そのまま矢印の方向に+ボタンを動かせば、はりつき移動が可能だ わすれずにマスターしておけよジャンゴ?」 (スパイダーの居る部屋にて) おてんこさま 「スパイダーか・・・ ビースト(動物)タイプのモンスター、スパイダーは、 クモの巣をしかけ、相手をつかまえようとする クモの巣など、敵モンスターやその罠につかまってしまったときは、 +ボタンをすばやく動かして、ただちに脱出するんだ クモの巣は通常、目に見えないが、 太陽ショットを放てば、照らし出すことができるぞ」 (スパイダーの居る部屋を宝箱を開けずに抜けようとするジャンゴに) おてんこさま 「ジャンゴ、 何かを見のがしていないか? 先を急ぐばかりでは、これからの冒険を乗り切ることはできないぞ?」 (スパイダーの居る部屋の緑の宝箱を開けたジャンゴに) おてんこさま 「太陽銃(ガン・デル・ソル)パーツを手に入れたようだな それは太陽銃(ガン・デル・ソル)フレーム、ウィザードだ 太陽銃(ガン・デル・ソル)はフレームをつけかえることで、 攻撃方法を切りかえることができる フレームの装備は、メニュー画面の太陽銃(ガン・デル・ソル)メニューで行うんだ 一度に8つまで装備できるぞ 装備したフレームは、 SELECTボタンを押しながらRボタンを押して行うクイックチェンジによって、 自由に持ちかえることができる フレームごとの特徴をよく理解して、 効果的に使い分けることが重要だ」 (広い部屋を抜けようとするジャンゴに) おてんこさま 「ところでジャンゴ・・・ 冒険の記録、セーブはしているか? セーブは、メニュー画面のセーブメニューで行うことができる 冒険にアクシデントはつき物だ いざというときのためにも、セーブはおこたるなよ?」 (トラップクリアでレベルアップしたジャンゴに) おてんこさま 「レベルアップしたようだな、ジャンゴ 敵モンスターをたおすことによって得られる経験値が、 一定の値をこえるとレベルをアップすることができる レベルアップ時に得られるステータスポイントをわりふれば、 おまえの能力を強化することができるぞ 強化できる能力はLIFE(ライフゲージ)の最大値に影響する[カラダ] ENE(エナジーゲージ)の最大値に影響する[ココロ]、 攻撃力に影響する[チカラ]、以上の3つだ ポイントのわりふりは、メニュー画面のステータスメニューで行ってくれ レベルアップしても、ポイントをわりふらなければ能力は強化されない わすれずにポイントのわりふりを行っておくんだ」 (トラップ部屋を抜けたジャンゴの背後から、突然モンスターが襲い掛かる) (太陽の実を(持っている場合)盗まれ、吹き飛ばされるジャンゴ) (おてんこさまと共にモンスターの去った方向を眺め沈黙の吹き出しを出す二人) (お互いに向き合って) (太陽の実を持っていた場合) おてんこさま 「おまえともあろう者がアイテムをぬすまれるとは・・・ まだ本調子ではないようだな? まあ、すぎてしまったことは仕方がない 明日もまた日は昇る! 気を取り直して行こう、 ジャンゴ!!」 (太陽の実を持っていなかった場合) おてんこさま 「何だったんだ、今のは?」 (地図を手に入れたジャンゴに) おてんこさま 「地図を手に入れたようだな ダンジョンのマップは、メニュー画面のマップメニューで確認することができる マップを見るためには、そのダンジョンの地図が必要だ ダンジョンによっては、地図が1枚とはかぎらないから注意してくれ」 (十字の部屋のヒントパネル) [方角] 冒険者たる者、道にまようことなかれ 画面右上は北、右下は東、 左下は南、左上は西と知れ (十字の部屋の東側にて) おてんこさま 「これは重量スイッチだな 上におもりとなるモノを乗せれば、起動するはずだが・・・」 (剣を手に入れたジャンゴに) おてんこさま 「ソードタイプの武器を手に入れたようだな ソードは太陽銃(ガン・デル・ソル)とちがい、エナジーがなくても使うことができる 太陽ショットのように、遠くの敵を攻撃することはできないが、 移動ブロック、木箱を破壊することが可能だ 中には、さらに特殊な効果を持ったソードもあるらしい ソードには、メニュー画面のソードメニューで装備した上で、 SELECTボタンを押しながらRボタンを押して行うクイックチェンジによって、 持ちかえることができる Bボタンを押すとソードをかまえ、はなすと攻撃をくり出すぞ 太陽銃(ガン・デル・ソル)とソード・・・ それぞれの特徴をよく理解して、 効果的に使い分けるんだ」 (剣を手に入れずに移動ブロックのある部屋に行ったジャンゴに) おてんこさま 「ぬぅ・・・ この木箱を何とかしなければ、先には進めそうもないな・・・ 太陽銃(ガン・デル・ソル)では木箱を破壊することはできない ジャンゴ、何か別の武器をさがすんだ」 (移動ブロックのある部屋のヒントパネル) [太陽タケノコと精霊虫] ダンジョン内で武器を使うと、 地面から水晶のようなモノが生えてくることがある それは大地にたくわえられたエネルギーのかたまり、太陽タケノコだ 太陽タケノコには3種類の精霊虫がひそんでいる ふれた者のエナジーを回復させる太陽虫、 ライフを回復させる月光虫、 そしてエナジーをうばう暗黒虫だ 太陽虫、月光虫は太陽チャージでよびよせることもできるが、 暗黒虫は自ら近づいてきてエナジーをうばおうとする 冒険者たる者、つねに警戒をおこたるな (スイッチに近づいたジャンゴに 鉄格子に関するコメントとどちらか一方のみ聞ける) おてんこさま 「レバースイッチか・・・ これは何か仕掛けを動かすためのものだ レバースイッチを入れるには、レバーを攻撃すればいい どうする、ジャンゴ?」 (鉄格子に近づいたジャンゴに スイッチに関するコメントとどちらか一方のみ聞ける) おてんこさま 「鉄格子か・・・ どこかに、この鉄格子を開けるためのスイッチがあるはずだ ジャンゴ、スイッチをさがすんだ!」 (天窓とグールのいる広い部屋にて) おてんこさま 「天窓、 そしてグールか・・・ いいか、ジャンゴ アンデッド(死者)タイプのモンスターは太陽の光を苦手とする 天窓の光の中にさそい出せば、 攻撃することなく、ダメージをあたえることができるぞ 聴覚を持つ敵モンスターをさそい出すには、 壁たたきが有効だ 壁にはりついた状態でAボタンを押せば、 壁をたたいて物音を立て敵モンスターをさそい出すことができる (太陽ゲージが1以上) 重要なテクニックだ。 今のうちにしっかりマスターしておいてくれ」 (太陽ゲージが0) 太陽ゲージがゼロでは、天窓を利用することはできないが・・・ 重要なテクニックだ。 今のうちにしっかりマスターしておいてくれ」 (クロロホルルンの居る部屋にて) おてんこさま 「この気配は・・・ あれは暗黒物質(ダークマター)によって形作られた闇の精霊、 ファントム(幻影)タイプのモンスター、クロロホルルンだ 冒険者が近づくと、取りついてライフをうばおうとする 万が一取りつかれてしまったら+ボタンをすばやく動かして、ただちにふりほどくんだ ホルルンは闇の精霊なだけあって、太陽の光を苦手とする グール同様、天窓の光でダメージをあたえることもできるぞ」 (太陽スタンドと太陽ダケがある部屋にて) おてんこさま 「これは・・・ 太陽スタンドに太陽ダケか この太陽スタンドは・・・ 太陽センサーがキャッチした太陽の光を、 エナジーとして自動的にためておいてくれる魔法機械だ そのスタンドの前でAボタンを押しっぱなしにすれば、 エナジーをチャージすることができる 夜間でもチャージすることができるから、昼間の内にエナジーを集めておくといい そしてこの太陽ダケは・・・ 成長し、地上に飛び出した太陽タケノコだ 攻撃を加えることで中にいる月光虫をよび出すことができる いくら攻撃を加えても、こわれることはないから安心してくれ しかし気になるのは、この闇の気配だ 闇の一族(イモータル)ほどではないが・・・ 油断は禁物だぞ、ジャンゴ!!」 おてんこさま 「これは・・・闇の封印か? ジャンゴをほうむり、さらに封印までほどこすとは これがあいつの本心だとは思えんが・・・ くそっ、このままでは永遠にこの地下牢獄からぬけだせない!! 何か方法はないのか!?」 ??? 「うわああああああっ!!」 青ポンチョの少年 「いってぇーっ!! クソッ、ケツが2つにわれちまうぜっ!!」 青ポンチョの少年 「まったく・・・ 時間転移(タイムワープ)だかタイムストリップだか知らねーが パンの耳ちょろまかしたぐらいでこんな目に会うなんて、割に合わねーぜ」 青ポンチョの少年 「まさかホントに・・・ 世紀末世界とやらに来ちまったのか? それじゃあ、この世界のどこかに伝説の戦士が・・・」 青ポンチョの少年 「まさかな・・・ あんなのはただのおとぎ話さ たとえいたとしても、どうせ死んじまうんだ だったらさがすだけムダさ まったく、伝説の戦士の子孫だなんて・・・ ぬすみの言いわけにしちゃあ、話がデカすぎたぜ それにしても・・・ ハラへったなぁ」 青ポンチョの少年 「・・・太陽少年ジャンゴ、 ここに眠る」 青ポンチョの少年 「ヤバッ!!」 青ポンチョの少年 「待てよ・・・太陽少年?」 青ポンチョの少年 (日中) 「あれは・・・太陽? 本物の太陽なのか!?」 (夜間) 「あれは・・・月? 本物の月なのか!?」 青ポンチョの少年 (日中) 「それじゃあやっぱり・・・ この世界はまだ闇の一族(イモータル)に支配されていないのか? どうやら・・・ 食い物にこまることだけはなさそうだな!!」 (夜間) 「それじゃあやっぱり・・・ この世界はまだ、闇に支配されてはいないのか? どうやら・・・ 食い物にこまることだけはなさそうだな!!」 青ポンチョの少年 「ま、悪気はなかったんだ 化けて出るんじゃあねーぞ、 太陽少年! じゃあな!!」 おてんこさま 「闇の封印が弱まった? いったいどうして・・・ いや、そんなことは後回しだ 今なら封印をやぶれるかもしれん。 撃つんだ!!」 おてんこさま 「よしっ!! これで地上に出られるぞ!」 おてんこさま 「やれやれ、 助かったか・・・」 おてんこさま 「いい顔になったな、 ジャンゴ!」 ジャンゴ 「おてんこさまもね!」 おてんこさま 「ふふっ それにしても、やつはなぜこんなことを・・・」 おてんこさま 「思い出したようだな、 ジャンゴ・・・」 ??? 「さすがはわれらが主サバタさま・・・」 ??? 「大いなる災厄 ・・・ 破壊の獣、 ヴァナルガンド その力を受けつぐ者、暗黒少年・・・」 ??? 「ヴァナルガンドはまもなく解放される 血と大地によって月がそまる時破壊の獣はとき放たれる」 ??? 「太陽の季節は終わりを告げ、暗黒の時代がおとずれる」 サバタ 「さらばだ・・・ 太陽少年ジャンゴ もはやわれわれのジャマをするものはない 世界は・・・終わる」 おてんこさま 「サバタ、 どうしてなんだ・・・? 闇の女王(クイーン)に暗黒少年として育てられたとはいえ、 おまえもまたジャンゴと同じ太陽と月の血を受けつぐ者 血を分けた弟をたおし、封印までをもほどこすとは・・・ その身に宿る暗黒物質(ダークマター)の命ずるままに、世界をほろぼそうというのか? だが・・・ あのサバタがふたたび闇の一族(イモータル)に加わるとは考えられん この裏にはきっと何かある・・・」 ??? 「クックックッ・・・ やはり生きていたか、 ジャンゴ!!」 おてんこさま 「おまえは伯爵!? またしても復活を果たしたのか!?」 伯爵 「相変わらずのようだな。 太陽の使者、おてんこよ わすれたわけではあるまい? わたしはヴァンパイア・ロード何度でもよみがえる そして破壊の獣、ヴァナルガンドの復活もまた近い 急いだ方が良いのではないか?」 おてんこさま 「何が言いたい? 言われるまでもなく、おまえたち闇の一族(イモータル)の思い通りにさせるつもりはない!」 伯爵 「クックックッ・・・ ならば教えてやろう ヴァナルガンドの復活を止める、ただ一つの方法を」 おてんこさま 「なにっ!?」 伯爵 「世界の崩壊を止める、ただ1つの方法 それは暗黒少年サバタ・・・ ヴァナルガンドの後継者であるあの男をたおすことだ」 おてんこさま 「バカなっ!? あのサバタが・・・ ヴァナルガンドの後継者だと!?」 伯爵 「どうする、太陽少年? たおせるのか、実の兄を? クッカッカッカッカッ!! その覚悟があるのなら・・・ われらイモータル四人衆を追って来い! 東の地で待っているぞ、 太陽少年ジャンゴ!!」 おてんこさま 「イモータル四人衆・・・ ヴァナルガンドの復活がやつらの目的だとすれば サバタはやつらにあやつられているのか? それとも・・・」 おてんこさま 「ジャンゴ・・・ 真実がどうであれ、いずれはその決着をつけるときが来る そのときまでに、おまえは自らの心を決めておかなければならない おまえのその心が、われわれの運命を決することになるだろう だがたとえどんな結末が待っていようとも・・・ わたしはいつまでも、おまえと共にある ・・・とにかく今は伯爵を追うしかない 行こう、ジャンゴ!! 明日もまた日は昇る!」 by kame S目次 ←Sプロローグ S死灰の街→■ Sダンジョン外
https://w.atwiki.jp/83452/pages/18242.html
「えっと……、ごめんね……。 私ったら全然気付かなくてさ……」 「いえ……。 私こそ年上の人をちゃん付けで呼びたいだなんて、 いきなり変な事を言ってしまってすみません……。 でも……」 途切れ途切れながら、憂ちゃんは自分の想いをはっきり口にしてくれた。 憂ちゃんからそんなに信頼されてるのは凄く嬉しい。 でも、何でだ……? 私はその答えが出せない。 自慢じゃないが、この数日でそんなに憂ちゃんと親しくなる何かがあったなんて思えない。 三年間、それなりの距離感を持って私達は付き合っていた。 友達の妹っていう難しい位置にいる憂ちゃん相手に私は少し戸惑ってて、 多分、憂ちゃんはそれを察して、私と丁度いい距離感で付き合ってくれてたと思う。 けど、今の憂ちゃんは私ともっと親しくなりたいと言ってくれてる。 失礼だと思うけど、私にはその理由が全然分からない。 はっきり言って、本気でお風呂以外に理由が見当たらなかった。 梓には冗談で言ってたんだけど、本気で湯の力が私達を近付けてくれたんだろうか? そりゃ私だって、一緒に風呂に入ったおかげで若干親しくなれたとは思ってるんだけど……。 流石にその理由まで憂ちゃんに訊いちゃうわけにはいかない。 そんなの失礼過ぎるにも程がある。 だから、今度こそ私はちゃんと憂ちゃんの気持ちを考えなきゃいけない。 あの日の事をもっと思い出すんだ。 あの日、憂ちゃんと私の間に何があったのかを……。 裸の憂ちゃんと抱き合うような体勢になった……、ってのは違うよな。 憂ちゃんは本気で私の事を心配してくれてたし、 ムギの勘違いの事にも気付いてないみたいだった。 となると、あの日、私と憂ちゃんの間であった事と言えば一つしかない。 「ほうかごガールズ……?」 私が訊ねるみたいに口にすると、憂ちゃんの表情がパッと輝いた。 私達の様子を見ていた純ちゃんと和の様子も安心した感じになる。 嬉しそうに微笑みながら、憂ちゃんが話を続けてくれる。 「はい……! あの日は言ってなかったんですけど……、 恥ずかしくて言い出せなかったんですけど……、 だから、今、言わせてもらいますね……。 律さんが新バンドの……、 ほうかごガールズの事を発案してくれて、私、とても嬉しかったんです。 これでお姉ちゃん達に私達の演奏を聴いてもらえるんだって思うと、凄く嬉しくて……。 それもそのバンドに和ちゃんまで参加してくれるなんて、本当、夢みたいです……! 今更ですけど、本当にありがとうございます!」 憂ちゃんは少しだけ興奮して言っていた。 憂ちゃんが興奮するなんて、よっぽどの事だった。 そうか……。 私は憂ちゃんにそんなに喜んでもらえる事を思い付いてたのか……。 正直、単なる勢いだけの思い付きが、憂ちゃんにそんなに喜んでもらえてたなんて思いもしなかった。 大体、それはわかばガールズのためだけに言い出した事じゃない。 何も出来てない自分が悔しくて、 それと私自身もわかばガールズの演奏が聴きたくて、 そんな下心もあって言い出した事なんだ。 不純な雑念や下心に溢れた勢いだけの発案なんだ。 それがこんなに喜んでもらえてるなんて、何だか申し訳ないけど……。 でも……。 それは口にしないでいい事だと思った。 始まりや理由は何であれ、憂ちゃんはそれを嬉しいと思ってくれた。 私の事を信頼してくれたんだ。 だったら、言いだしっぺとしての責任を取るのが、私のせめてもの罪滅ぼしだ。 私はいつも勢いだけの自分に呆れながら、 でも、ちょっとだけ感心しながら、憂ちゃんの目をまっすぐに見つめた。 今度は変な気負いもなく正面から見つめられた。 「ほうかごガールズの事……、 憂ちゃんにそんな喜んでもらえてたなんて、私も嬉しいよ。 ごめんね、すぐに気付けなくってさ……。 その分、私、皆の演奏をしっかり支えるよ。 部活に力を入れてるわかばガールズの演奏に匹敵出来るかは分かんないけど、頑張る。 だから……」 私は正直な想いを口にした。 頑張ろう。 わかばガールズの完璧な演奏を手助けするために、精一杯頑張ろう……! そんな真剣な想いを込めていたけど、何故だかその言葉は純ちゃんに苦笑された。 持っていたベースを軽くかき鳴らしてから、純ちゃんが私に言った。 「違いますよ、律先輩。 ここはアレですよ? 「頑張る」じゃなくて、「一緒に頑張ろう」って言う所ですよ? だって、私達、もう同じバンドのメンバーじゃないですか。 もう仲間なんですから、他人行儀な言い方は無しにしましょうよ。 仲間で一丸になって、澪先輩達にすっごい演奏を聴かせてあげましょうよ!」 言い終わった後、流石の純ちゃんでも照れ臭かったんだろう。 頬を少し赤く染めながら、照れ隠しなのかピースサインを見せた。 仲間……か。 言われてみれば、そうだった。 助っ人のつもりだったから自覚は無かったけど、助っ人でも仲間は仲間なんだ。 もう他人行儀な考え方をするのはやめよう。 期間限定だけど、私の新しいバンドとして、全身全霊で皆と演奏するんだ! 「分かったよ、純ちゃん。勿論、憂ちゃんも。 私、自分の事を助っ人だからって、軽く考えてたかもしれない。 でも、それじゃいけなかったんだ。 助っ人だろうが何だろうが、 メンバー全員が気持ちを一つにしなきゃ、いい演奏なんて出来ないよな。 だから……、一緒に頑張ろうぜ!」 私が手を挙げて宣言すると、憂ちゃん達も笑顔で手を挙げてくれた。 まだライブをする前に、この事に気付けて本当によかった。 単なる助っ人ってだけの気分だったら、いい演奏なんて出来なかったかもしれない。 それに気付かせてくれた皆には本当に感謝したい。 和が私のその様子を見て、静かに微笑みながら言った。 「久し振りに聞いたわね、律の『ぜ』って語尾。 私の前じゃたまに出してたけど、憂達の前じゃあんまり出してなかったでしょ? 律も憂達の前じゃ照れてたのかしら?」 「うおーい! そこは気付いても黙っててくれよ、和ー……!」 和に言われなくても、そこは私も自覚してた。 憂ちゃんと純ちゃんの前じゃ、ちょっと口調変えちゃうんだよな、私。 二人が嫌いってわけじゃなくて、 年下に素の自分を見せるのはやっぱり恥ずかしかったんだと思う。 いや、梓は除くけどな。 でも、ぎこちなくても、少しずつそういうのはなくしていこう。 私達はもう仲間なんだから。 私は照れ隠しのために、憂ちゃんに微笑みかけて言ってみる。 「って事で、それは置いといてとにかく……、 憂ちゃんは遠慮なく私の事をりっちゃんって呼んでくれていいぞ! 何だったら律って呼び捨てにしてくれても構わないからさ!」 私の言葉に憂ちゃんが嬉しそうにしながらも、軽く頭を下げて返した。 「ありがとうございます、律さん。 りっちゃんって呼ぶのを許してくれて、私、嬉しいです。 でも……、やっぱりまだしばらくは律さんってお呼びしますね。 りっちゃんで呼ぶのは、まだちょっと恥ずかしくて……。 でもいつか……、いつか必ずりっちゃんって呼ばせてもらいますね……!」 「そっか……。うん、いいよ。 その時を楽しみに待ってる。 こういうのは強制で呼ばせるようなもんじゃないしさ」 「自分で話を盛り上げておいてすみません、律さん……。 あ、そうだ! 律さんの方こそ、私の事、『憂』って呼び捨てで呼んで下さい。 律さんが梓ちゃんを呼び捨てで呼ぶの、いいなって思ってたんです」 私が憂ちゃんの事を呼び捨てに……? 『憂』って……? うわ、それは想像してなかった。どうしよう……。 私がその答えを出すより先に、純ちゃんが憂ちゃんの話に乗っかった。 「あ、それいいなー、憂。 ねえ、律先輩、私の事も『純』って呼び捨てで呼んで下さいよ。 後輩を名前で呼び捨てる関係なんてカッコいいじゃないですか! さあさあ、遠慮なく!」 ノリノリだー! 一応、私が純ちゃんを呼び捨てにする光景を想像してみる。 憂ちゃんを呼び捨てにするよりは想像しやすかったけど、 やっぱり純ちゃんを呼び捨てにするのも恥ずかしい。 呼び方を変えるってのは、難しいよな……。 漫画みたいに親しくなったらいつの間にか呼び捨ててるって事は無いぞ、マジで。 私は照れ笑いを浮かべて、頬を掻きながら純ちゃん達に言う。 「機会があればな! いきなり呼び捨てってのはちょっと……ね。 その内、そう呼ぶからさ!」 私の言葉に純ちゃんと憂ちゃんは残念そうな顔をしたけど、すぐに納得してくれた。 自分達も簡単には私の事をりっちゃんって呼べない気持ちがあるみたいで、 私の気持ちを分かってくれたみたいだ。 その内……、ってのは、勿論その場しのぎの嘘じゃない。 今はまだ恥ずかしいけど、皆でライブをした頃には、少しは呼びやすくなってるはずだ。 その頃には、新しい呼び方で呼び合える仲になっててほしいと思う。 呼びたい、と思う。 でも、それはまだもうちょっとだけ先の話だ。 私はスティックを掲げると、私の新しい仲間達に向けて宣言してみせる。 「よっしゃ。 仲間同士の親交も大切だけど、練習だって同じくらい大切だ。 そろそろ練習しようぜ! 期限があるわけじゃないけど、出来るだけ早く澪達にライブをみせてやりたいからな!」 私の言葉に、「はいっ!」、「そうですね!」、「分かったわ」と三者三様の返事が上がる。 皆の返事は嬉しかったけど、同時に私は突っ込みを待っていた。 多分、あいつからの突っ込みが来るはずだって思ってた。 このパターンならあいつから、 「普段は練習しようなんて言わないのに、今日はやけに張り切ってますね」って突っ込みが来るはずだ。 そう思ってた。 だけど、あいつからの……、梓からの生意気な突っ込みは来なかった。 梓は私の言葉をまるで聴いてないみたいに、音楽室の壁を見つめながらぼんやりしていた。 「おーい、梓ー? 練習だぞー? おまえがいつもやりがってる練習だぞー?」 ちょっと声を張り上げてみるけど、梓は全く反応しなかった。 そういや、梓はさっきまでの会話にも全然参加してなかったよな。 私と憂ちゃんの会話には参加しそうなもんなんだけどな……。 何か悩み事でもあるんだろうか……。 何だか心配になる。 でも、大事だって騒いじゃうのも、梓に悪い気がするしな……。 どうしようかな……。 何個か解決策を考えてみたけど、私らしい最適な答えは一つしか見つからなかった。 我ながらひどい解決策だなって思う。 でも、それが一番だ思ったから、私は少し深呼吸してから意を決して立ち上がった。 壁を見つめている梓にゆっくりと近付いていく。 手を伸ばせば届く距離。 そんな距離にまで近付いても、梓は私の行動に気付いてないみたいだった。 小さく溜息を吐いてから、私は梓に手を伸ばして……、 成長してる気がしないでもないその梓の控え目な胸を鷲掴み、耳元で囁いてやった。 「あーずーさちゃん?」 「にゃっ!?」 梓があだ名通りの猫みたいな悲鳴を上げる。 やっぱ効果抜群だな。 ぼんやりしてる澪によくやる技なんだけど、澪の奴もこの私の技には弱い。 ほぼ確実に反応して、その後に「聞こえてるよ!」って言いながら殴り掛かって来る。 聞こえてるなら反応しようぜ……。 梓の奴も多分、殴り掛かって来るはずだ。 前に澪のコスプレ……、じゃないか。 とにかく澪の真似をさせようとした時、 こいつ、「律、うるさい!」って言いながら本気で殴り掛かって来たからな……。 あれは痛かった……。 ただ殴られるだけってのも悔しいから、 私は鷲掴んだ胸を揉んでやろうと少し手を動かそうとして……、気付いた。 あれ……? も……、揉めん……。 ブラジャーの硬い感触だけが手に伝わってきて、どうにも揉みようがない……。 梓……、胸が成長してるように見えたのは私の気のせいだったのか……。 つーか、ブラジャーのサイズだけ大きくしてるんじゃないのか? サイズが合ってない気がするんだが……。 瞬間、私は途轍もなく悲しくなった。 まさか梓……、自分の成長を信じてサイズの大きいブラジャーを買ったのか? フィッティングもせずに……? やめてくれ……。 人の事を言えない立場なだけに悲しくなってくる……。 だけど、今はそんな事はどうでもよかった。 いつまで経っても、梓の拳が私の脳天を襲わない事の方が気になった。 本気で心配になって来て、手を梓の胸から離しておずおずと訊ねてみる。 「おい、梓……? おまえ、大丈夫か? 熱でもあるのか? 調子が悪いんだったら、早めに昼飯作ってやるから、食べて休んでいいんだぞ……?」 「あ……、はい……。 いえ、えっと……、大丈夫です……。 考え事してただけなんで……、 その……、返事しなくてすみませんでした……」 梓が元気無く呟く。 そして、大きな溜息。 胸を揉んだ私の行動がとても間抜けに思えて来る。 私が間抜けなのは全然構わないんだけど、 その間抜けさに今の梓を巻き込んでしまうのは、ひどく申し訳ない気がした。 私、間違っちゃったのか? 私の思い付きの行動が失敗する事は多いけど、今回も失敗だったのか? 梓の調子を取り戻そうとしてやった事は、完全に失敗だったってのか? それを梓に訊ねたかったけど、本人に訊く事じゃないってのも分かってた。 私は無理して笑ってから、梓の肩を軽く叩いた。 どうしよう……。 梓に嫌われちゃってたら、どうしよう……。 思わずそんな事を考えちゃってる自分に気付く。 当然だけど、梓だろうと誰だろうと、誰かに嫌われるのはどんな時だって嫌だ。 嫌に決まってるじゃないか。 でも、閉ざされた世界に来てから、私は誰かに嫌われるのがすごく怖くなってる気がする。 皆、親しい仲間達だし、残されたのは私達の八人だけなんだ。 たったそれだけしか居ないのに、そんな数少ない仲間に嫌われるなんて、絶対に嫌だ……! 様子がおかしいはずの梓にすら、私の顔色が悪い事を気付かれちゃったんだろう。 梓が心配そうな顔を向けて、私に言ってくれた。 「どうしたんですか、律先輩? これから練習するんですよね? ぼんやりしててすみませんでした。 私はもう大丈夫ですから、練習しましょう?」 悩んでる梓に何で気を遣わせちゃってるんだよ、私は……。 私は自分の情けなさと臆病さに呆れながら、どうにか掠れた声を絞り出す。 「あ、ああ……。 今日は初めてほうかごガールズで合わせる日だからな……。 しっかり頑張れよ、梓。 それと……、えっと……」 「何ですか?」 梓が首を傾げて私に訊ねる。 その顔にはもう微笑みが戻っていた。 梓の悩みはひょっとしたらそれほど深い悩みじゃなかったのかもしれない。 私が勝手に怖がっちゃってるだけかもしれない。 だけど、梓に嫌われた可能性がほんの少しでもあるって思うと、 私は震えてしまう自分の心を押し留められなかった。 本当は「ごめんな」って言おうと思ってた。 「調子に乗って胸を揉んだりして悪かった」って言いたかった。 でも、流石にそれはやめておいた。 それは完全な私の自己満足だからだ。 梓に「気にしてませんよ」って言ってもらって、安心するための謝罪なんだ。 それが分かるくらいには、私の頭は悪くないつもりだ。 だから、私は深呼吸して、軽く笑って見せた。 もし今の行動で梓に嫌われたんだったら、他の所でフォローしよう。 本当に謝らなきゃいけない時はあると思うけど、 自分の不安を消すためだけに謝るなんて、しちゃいけない事だ。 「何でもない。練習、頑張れよ」と私が言うと、「律先輩も」と梓が返した。 むったんを持って、梓が音楽室の中央に向かう。 私は大きく深呼吸をしてから、さっきまで座っていたドラムに向かって歩いていく。 純ちゃん達が梓に心配そうな声を掛け、「大丈夫だよ」と梓が微笑むのを横目に見る。 少しだけ安心しながら、私は相棒のドラムの椅子に座った。 相棒のドラム……。 ほうかごガールズを組んでから、メンバーで分担して運んだ私の黄色いドラムだ。 わかばガールズのライブの後で演奏出来るように、実家に置いておいたんだよな。 菫ちゃんのドラムを借りるって選択肢もあったけど、私はそうはしなかった。 純ちゃんは「スミーレは気にしないと思いますよ」って言ってくれた。 でも、それは遠慮しておいた。 わかばガールズのドラマーは菫ちゃんで、 菫ちゃんのドラムは菫ちゃんだけの物なんだ。 後からしゃしゃり出た私がその居場所を奪っちゃいけないんだ。 例え今後一生会う事が出来ないとしたって、それだけはやっちゃいけない。 まあ、菫ちゃんのドラムが身長の高い人用のドラムだった、ってのもあるけどさ。 話にはちょっと聞いてたけど、でけーな、菫ちゃん……。 梓に見せてもらった写真で見ても、梓より頭一個は確実に大きかったし……。 勿論、ドラムをセッティングし直す事も出来るんだけど、やっぱりそれは駄目なんだ。 私だって自分のドラムを勝手にセッティングし直されたら、 流石に怒りはしないけど、どうも気分悪いもんな……。 27
https://w.atwiki.jp/jinrowiki/pages/673.html
前ページ次ページ村企画 ある閉ざされた雪の山荘で [#f6e11f80] 概要 [#m53e3526] 舞台 [#he6f95cb] 役職 他 [#z27e8fbf] 処刑襲撃設定 [#z1506f1d] 囁きに関して [#dd1c6f17] 進行 [#e3b8fe77] ローカルルール [#lde2cd8f] 参加C0 [#ne01ec47] キャラ予約 [#rb9f468d] コメント [#y742b1c6] ある閉ざされた雪の山荘で http //melon-cirrus.sakura.ne.jp/sow/sow.cgi?v=1329#newsay 村建てました。 概要 村名 ある閉ざされた雪の山荘で 主催 ぽぽろふ 開催国 瓜科国 キャラセット 東方他 村内に見学で入り匿名メモ等で希望を出してくれれば変えます 種別 推理なしのRP村 更新間隔 24h 投票方法 無記名 発言制限 多弁(1500pt) 募集人数 ダミー込み12〜14名 更新時刻 5 00 開催時期 2月12日くらい 役職希望 有 舞台 幻想郷のとある山の中の山荘です。 季節は冬。 現代側のスキー場や温泉等で有名な観光地に隣接しています。 東方チップは幻想郷の住人 他のチップは幻想郷外の人間です。 山荘の文明レベルは江戸時代程度(適当)でガスも電気も電話もインターネットもありません。 灯りは液体燃料のランプと蝋燭。 暖房器具は暖炉で配管によって熱が山荘全体に行きわたるよう設計されています。 水回りは温泉の源泉が近くにあるのでそこからひいてきているためお湯を自由に使うことができます。 全員が宿泊できる程度の数の個室、主人の書斎、談話室兼食堂、厨房、大浴場、 トイレ、倉庫が山荘にある施設の全てです。 役職 他 人狼×1 ハム×1 残りはC狂人 屍食鬼化設定を使用します 人狼とハムは山荘の主人のもつ妖魔本(存在が消えてしまった妖怪最後の望みとして自分を書いた本の中で眠っている状態)から主人に記憶されたことで実体化したものです。 2体の妖怪の異質な妖気が干渉しあって今回の異変は起こっています。 妖魔本などを見つければ真相をPCが知ることができます。 また弱点など全て書かれていますので人間でも退治は可能です。 弱点は好きに作ってしまって構いません。 放っておいても主人がスキマに消えてしまったため5日目には本に戻ってしまい異変は解決します。 処刑襲撃設定 ・襲撃はランダム、処刑は狼に委任してください ・墓下はスキマです ・墓下からは進行中は出られません ・表の人と会話は可能ですが姿は向こうからは見えません ・RPの流れ次第ですが最長5日目には確定で終了とします 囁きに関して ・吹雪が原因で乱れた結界の副作用でスキマを通じて意思疎通が可能になっています。 距離などは関係なく会話して構いません。 進行 ●プロローグ 外はすでに吹雪いてきていて1m先も見えないくらい。 吹雪が原因で結界が破れ幻想郷外の人間は幻想郷へ迷い込みます。 幻想郷側の住人は、それぞれの理由でロッジへ来てください。 ●1日目 ロッジのオーナー(ダミー)がスキマ送りになってしまいます。 見物人もこの時一緒に。 幻想郷の住人は異変を感じてください。 解決しようとするかしないかは各人の自由です。 何もしなくても異変は解決します。 ●2日目以降 異変がロッジの客にも影響を及ぼします。 異変の原因は狼とハムの相互作用です。 狼は役職をメモで公開してください。 ・・・が恋愛推奨の村なので必死になって狼やハムと戦う必要はないです。 戦っちゃいけないわけではありません。 ローカルルール ・発言に関して メモでの雑談はやめましょう。 RP相談もあまり長くなりすぎないよう注意してください。 ・その他 掛け持ちはなるべくしないように。 無敵ロールや世界観を著しく損なう物品の使用を禁止します。 ゲームです。中の人が本気になるのはやめてください。 参加C0 偶数にしたいので参加COを募ってみる。 匿名でも構いません。 NO ID 性別 備考 01 02 匿名希望 これでいいのかな? 03 匿名 コア夜遅めですが席取りしてみる 04 05 06 07 08 09 10 11 12 ぽぽろふ 村建て キャラ予約 キャラの予約も ↑に書いている以外のセットで使いたいものがあれば遠慮なくどうぞ NO キャラ 性別 セット名 01 霧雨魔理沙 女性 東方 02 蓬莱山輝夜 女性 東方 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 コメント 東野圭吾は関係ありますか? -- ぽぽろふ様、突然失礼いたします。2/9プロローグ開始予定のホモ村の村建ての宝井民と申します。 -- 宝井民 御存じの事と思いますが、現在、瓜科が大変混雑しており村建て難民の発生の可能性が高くなっています -- 宝井民 そこで、それぞれの村建てが納得する形でこの問題に対処するためにご相談できないかと伺った次第であります -- 宝井民 村建ての順番等、話し合いをさせていただければ幸いです。 -- 宝井民 本日2000、瓜科の雑談村でタッグマッチガチ村の村建て様と話し合いの予定でございます。 -- 宝井民 ぽぽろふ様もご都合が付けば来ていただけると幸いです。 -- 宝井民 ごめんなさい。反応遅くなりました。12日以降の枠を使わせてもらいますね。 -- ぽぽろふ 東野圭吾は全くもって関係ありません。 -- ぽぽろふ 名前 コメント 前ページ次ページ村企画
https://w.atwiki.jp/fami2/pages/49.html
店名 場所(URL) 結果 ファミ通.com http //s02.megalodon.jp/2007-1005-2116-55/www.famitsu.com/review/title/0000/0000/0002/8940/ マジコンを裏切って批判を始めた ゲームマジック http //www.gamesmagic.net/ 10/5閉店 マジコン市場 http //mgichiba.shop22.makeshop.jp/ DSONE正規代理店? 10/12閉店 マジコンショップ http //www.r4-dstt.com/ ~10/6休 下ショップとは違う。価格高め マジコンショップ http //www.g6shop.com/ Google宣伝中。高い。送られてこないと噂もあるが真偽不明 マジ.com http //www.magi-com.cn/ トランス東京 http //majikaruty.shop22.makeshop.jp/ Gshop http //gshoppg.com/ DSMAJIKON.COM http //www.dsmajikon.com/
https://w.atwiki.jp/83452/pages/18258.html
それにしても、唯は本当に何をしていたんだろうか。 夜に部屋を抜け出してたかもしれないって、そんなんじゃ体調崩して当然じゃないか。 唯だって必死なんだろうけど、 憂ちゃん達が大切なんだろうけど、それで自分の体調を崩してちゃ本末転倒ってやつだ。 責めるわけじゃないけど、少しは自分の身も案じてほしかった。 憂ちゃん達と同じくらい、唯の事を大切に思う人間も沢山居るんだから……。 だから……、元気になってくれ、唯……。 元気になったら、思う存分叱ってやるから、だから……! おまえが元気になるためだったら、何でもしてやるから……! 「ん……、あ……」 急に呻き声が聞こえる。 澪と一緒に視線を向けると、やっぱり呻き声を上げたのは唯だった。 目を薄く開いて、私達の方に顔を向けている。 「お……はよー……。 りっ……ちゃん、澪ちゃん……」 途切れ途切れな言葉を出しながらも、唯は軽く微笑む。 こんな身体で……、それでも、唯は笑う。 唯って奴は本当に……。 私はつい泣きそうになってしまう自分に気付きながら、小さく唯に囁いた。 「おはよう、唯。 まだ熱が下がってないんだから寝てろって。 でも、何かしてほしい事があったらすぐ言えよ。 出来る限りのお願いは聞いてやるからさ」 「あは……っ、ありがと……。 じゃあ……、おでこに……、手置いてくれる……? りっちゃんの手……、冷たくて気持ちいい……んだよね……」 「お安い御用だ」 言ってから、私は唯の額に手を置いた。 相変わらず……、物凄く熱い。 唯は……、こんな熱に苦しんでるのか……。 今だって相当辛いに違いない。 でも、唯は変わらない笑顔で言ってくれた。 「えへへ……、りっちゃんの手……、気持ちいいな……。 ありがと……ね……」 まったく……、おまえ、今凄い熱なんだぞ……。 お礼なんてやめてくれよな……。 お礼なんてなくたって、何だってやってやるからさ……。 澪はそんな私達に目を細めてくれてたみたいだけど、 不意に真面目な声色になってから、唯に向けて言った。 「律の手の冷たさを感じるのもいいけど、折角起きたんだ。 辛いだろうけど、身体を起こしてくれるか? 汗を拭いて、服を着替えよう。 服が汗を吸って凄い事になってるからな」 「ええぅ……? 恥ずかしいなあ……」 「病人が恥ずかしがるな。 と言うか、毎日やってる事だろ?」 澪が微笑んで突っ込むと、唯が軽く頬を膨らませた後で笑った。 頷いて布団をどけると、汗でびっしょりのパジャマを脱ぎ始めようとする。 だけど、熱のせいだろう。 手元が震えてパジャマのボタンを外せないみたいだった。 私は唯の手を握ると、その手を使って一緒にボタンを外してやった。 意外とかなり膨らみのある唯の胸が露わになる。 羨ましい……と思うよりも、心配になった。 パジャマの下の唯の肌は胸も含めて、熱のせいで真っ赤になってた。 早く少しでも楽にしてやらないと……。 私は澪に唯のパジャマを手渡すと、代わりにタオルを受け取った。 背中から丁寧に汗を拭いていってやる。 くすぐったいのかたまに変な声が上がってたけど、それは気にしない事にした。 背中を拭き終わり、前も拭こうとすると、私の手は唯にの手に力無く握られた。 唯が照れたように呟く。 「ま……、前は自分でやるよう……」 「遠慮するな」 「え……、遠慮じゃなくって……」 「そんな力の入らない手で汗が拭けるかっての。 いいから私に任せたまえ、唯隊員」 「むー……、りっちゃんのえっちぃ……」 「誰がエッチだ。 ほら、パンツも脱がすぞ。変に動くなよ」 「んもう……」 口を尖らせながらも、唯は私の言葉に従ってくれた。 脱がせた唯のパンツは少し重いくらい汗を吸っていた。 こんなに汗を掻いてたのか……。 よっぽど苦しかっただろうな……。 せめて、その苦しみをこのタオルで少しは吸い取ってやりたいな……。 そう思って、一生懸命に唯の汗を拭いた。 大雑把って言われる私だけど、精一杯丁寧に唯の身体を拭いたつもりだ。 吹き出す汗を止める事は出来なかったけど、 唯の身体に纏わりつく古い汗は全部拭けてやれただろう。 私と澪は唯に新しいパジャマを着させると、頷き合ってから二人で唯の身体を抱き上げた。 「え……っ? 何……?」 唯が動揺した様子を見せる。 そりゃいきなり二人に抱き上げられたらびっくりするよな。 澪がちょっと笑いながら唯に説明を始める。 「心配するな、唯。 隣のベッドに移ってもらうだけだよ。 このベッドはもうおまえの汗でびっしょりだからさ、 新しいベッドで寝た方がおまえも少しは気持ちよく眠れるはずだよ」 「それはそう……だけど……。 でもでも……、えっと……」 「何だよ? とりあえず移すぞ?」 言って、唯を隣のベッドに寝させ、上から布団を掛ける。 その間中も、唯は何か言いたげに元のベッドの方を見ていた。 いや、正確には枕……か? この枕に愛着でもあるんだろうか? 「何だよー、唯。 枕の下にエロ本でも隠してんのかー?」 からかうみたいに言いながら、枕を手に取ってみる。 うわっ、唯の汗を吸いまくってんなあ……。 いや、そんな事より、この枕、ちょっと固い所があるな。 何だ……? 何か入ってるな……。 唯の奴、何か隠してるのか? 私は反射的に枕カバーの中に手を突っ込んでみる。 「あっ……、駄目……」 唯のその言葉はちょっとだけ遅かった。 私は唯のその言葉より先に、 枕カバーの中に入っていた固い何かの感触を感じていた。 感じた事がある気がする……。 いや、でも……、これは……、まさか……。 私は胸が激しく鼓動するのを感じながら、枕カバーの中から手を出した。 手のひらを広げて、握りこんでいた物に恐る恐る視線を落としてみる。 感触で半ば分かってはいたけど、この目で見ない事には信じられなかった。 いや、この目で見た所で、信じられなかった。 私の手のひらの上には、 あの日、投げ捨てたはずの、 過去と一緒に捨てたはずの、 ほうかごガールズのピックがあった。 ◎ 頭が真っ白になった。 何が起こったのか、何が起こってるのか、分からない。 息苦しいほどの心臓の鼓動と震える自分の指先だけは感じる。 かなり長い間、放心してた様な気がする。 不意に唯に見つめられている事だけには気付き、 やっとの事で頭の中で何かを考える事だけは出来るようになった。 だけど、それだけだった。 次々と湧き上がる疑問と不安と恐怖と後悔で頭の中がぐちゃぐちゃだ。 考える事が出来るようになったって、余計に嫌な気分になっていくだけだった。 それでも、私の中の思考は止まらない。 何だよ? どうしてピックが唯の枕カバーの中にあるんだ? いや、分かってる。 唯が拾ったからだ。 私の捨てたピックを探し出して拾ったんだ。 ピックの事を唯がどうして知ってる? あの日、屋上でピックを捨てた私を見てたのか? ピックを捨てた直後じゃなくてもっと前から唯は私を見てて、 たまたま屋上に顔を出したわけじゃなくて、 ピックを捨てた私のそれ以上の行動を止めようと姿を現したって事なのか? だけど、いくら何でも、 あの暗さの中じゃ私が何かを捨てたって事しか分からなかったはずだ。 ……分からなかったはずなんだ。 でも、唯は二つだけとは言え、ピックを拾い集めてる。 三日間掛けて……、そうだよ、三日間掛けたんだ、唯は。 何の手掛かりも無く、誰にも秘密のままで、一人で探し出したんだ。 憂ちゃんより、純ちゃんより、和より、私の投げ捨てた物を優先して。 こんな状況で三日間も掛けて……。 一人っきりで……。 胸が締め付けられるように痛むのを感じる。 きっと私は喜ぶべきだったんだろう。 私の事にそんなに目を向けてくれてる親友が居るって事を、嬉しく思うべきだったんだ。 頭では分かってる。 分かってるのに……、そう考える事が出来ない。 自分にそれだけの価値があるなんて、どうしてもそう思えない。 私にはまだ何も出来てない。 出来てないだけならまだよかった。プラスマイナスゼロならまだよかった。 でも、私自身が一番よく分かってる。 私の存在はプラスマイナスゼロどころか、皆にとってマイナスにしかなってない。 ムギを不安にさせて、梓に気を遣わせて、澪に心配を掛けて、 そして、唯には……、唯には……。 私の目に映るのは、辛そうな唯の姿。 40℃もの熱を出して苦しんでる唯の姿だった。 そして、唯を苦しませる事になってるのは、間違いなく私が原因なんだ……。 後ほんの少し熱が上がるだけで死んでしまう状態に追い込んでしまったのは……、 今まさに唯を殺し掛けてるのは……、 私……なんだ……。 何をしてたんだ、私は。 過去を捨てて、前に進んだ気になって、何をしようとしてたつもりだったんだ。 大体、私が皆を支えるなんて思い上がりだったんじゃないか? 私はいつだって皆に支えられて来た。 ずっと支えられて来た。 そのお返しをしたかった。 少しでも誰かに恩返しをしたかった。 私に出来る事は少ないって分かってたから、 この閉ざされた世界に来る前は、皆を楽しませる事で恩返しをしようと思ってた。 皆を笑顔にしてあげたかった。 だけど……、それは皆には迷惑だったのかもしれない……。 私は一人でずっと空回りしてただけなのかもしれない……。 自分勝手な被害妄想かもしれない。 でも、今の私には、もうそうとしか考えられない……! 梓の事にしたってそうだった。 私は自分が思う以上に弱いって事を、梓と風呂に入った日に気付いた。 誰かの体温を感じたかったんだ。 誰かの体温を感じなきゃ、孤独に押し潰されそうだった。 それで一番華奢で弱い子に頼ろうとしちゃったんだ。 一番私を拒みそうにない子の未来を奪い取ろうとしてしまったんだ。 馬鹿じゃないかって思う。 私はあんまり利口なつもりじゃなかったけど、今こそよく自覚出来た。 私は利口どころか単なる馬鹿なんだ。 自分の事しか考えられなかったどうしようもない馬鹿なんだ……。 こうなると皆の支えになりたいって想いも、我ながら怪しくなってくる。 私は皆の支えになりたかった。 皆を笑顔にしてあげたかった。 でも、それは皆のためじゃなくて、自分のためだったかもしれない。 いや、多分……、きっとそうなんだろう。 私は自分が安心したいために、笑いたいために、皆を利用してたんだ……。 「おい……、どうしたんだ、律?」 急に黙り込んでしまった私を不審に思ったんだろう。 澪が長い髪を耳元に流しながら、心配そうに訊ねてくれた。 応じられるはずがなかった。 頭の中がぐちゃぐちゃだ。 口の中がカラカラだ。 胸が絶え間なく痛み続けてる。 口を開けば大声で泣き出してしまいそうだ。 私が澪に言える言葉なんて、一つも無い。 私に出来たのは、澪から顔を逸らして、 この泣き出してしまいそうな表情を澪に見せないようにする事だけだった。 「おい……、律ったら……!」 澪が私の肩を掴んで自分の方に振り向かせようとする。 私の事を本気で心配してくれてるんだろう。 だけど、私にはそんな事をしてもらえる資格なんてない。 やめてくれよ、澪……。 もう私なんか心配しないでくれよ……。 だから、今の私の顔を見ないでくれ……。 見ないでくれ! 「ねえねえ……、澪……ちゃん……」 私が肩を置かれた澪の手を振り払って駆け出そうとした瞬間、不意に唯がそう言った。 熱で意識もはっきりしないだろうに、軽く微笑みながら言ったんだ。 途切れ途切れの声で、一つ言葉を口にするだけで苦しそうにしながらも……。 「どうしたんだ、唯? 苦しいんだろ? 無理に喋らなくていいから……」 澪の心配そうな言葉に、唯がまた微笑んで首を振った。 「私……、オレンジジュースが飲みたいな……」 「オレンジジュース……? それは構わないけど……、でも、今は……」 「お願い……、澪ちゃん……」 「いや……、でも、律が……。 えっと……。 ……。 ……分かった。 よく冷やしてから持って来るよ、唯。 お腹壊すかもしれないから、あんまりがぶ飲みするなよ?」 澪がそう言って頷く。 唯が何を言っているのか、その言葉の意味を理解したんだろう。 私にも唯の言葉は理解出来てはいた。 唯は私と二人きりで話をしたいんだ。 澪に今の顔を見られたくない私への助け舟って意味もあるんだろうと思う。 私だって唯と二人きりで話したかった。 ピックの事や、今の気持ちや、色んな事は澪に知られたくない。 でも……、唯と何をどう話したらいいのかは、分からない。 「じゃあ……、また後でな、二人とも」 そう言って、澪は部屋から出て行ったみたいだ。 みたいだってのは、結局私は澪の顔どころか姿にすら視線を向けられなかったからだ。 扉が閉まる音と澪の足音で、部屋から出てったんだろうなって判断しただけだ。 私って奴はどれだけ情けないんだろう……。 ともあれ、私はそうして唯と二人きりになった。 唯の気配りのおかげで、二人きりになれた。 話したい事は沢山あった。 話さなきゃいけない事も沢山あった。 だけど、情けない私は何をどう切り出していいか分からなかった。 病人に気を遣わせておいて、それでも、何も出来なかったんだ、私は……。 「ごめん……ね……、りっちゃん……」 結局、情けない私より先に話を始めてくれたのは唯だった。 前も聞いた言葉から、唯は切り出したんだ。 唯が言うべきじゃない言葉から……。 「隠してて……、ごめん……。 ピック……、全部揃えてから、渡したかった……から……。 隠してて……、ごめんね……。 二つしか見つけられなくて、本当に……ごめん……」 「二つしか……って……。 どうして、唯……、ピックが三つあるって……。 大体……、何で私がピックを捨てたって……」 口を開く度に泣き出しそうになってしまいながら、唯に訊ねる。 そうだよ……。 私がピックを捨てた事までは気付けたとしても、 唯はどうしてピックが三つだって事を知ってたんだ……? 唯がばつの悪そうに微笑んでから、息も絶え絶えに続ける。 「分かるよ……。 前にね……、屋上でりっちゃんが何か捨ててるの見かけて……、 見つけなきゃ……、拾わなきゃ……って思ったんだ……。 何か分からないし、見つかるかなって思った……んだけど……、 見つかってよかった……、よかったよ……」 「だから……、どうして三つだって……。 放課後ティータイムみたいなマークは描いてるから、 ピックだって事はどうにか分かったにしても、どうしておまえは……」 「え……っ? だって……、それ憂達のなんだよね……? 憂と……、純ちゃんと……、あずにゃんの……だよね? ライブの時……、りっちゃん、あずにゃんに何か渡そうとしてたから……。 その時のピックなんだろうなって……、思ったんだ……」 鋭いな、と思った。 唯って奴はどうしてこう……、妙な所で鋭いんだよ……。 そうだよ……、その通りだよ、唯……。 おまえの言う通り、投げ捨てたピックは三人に渡そうとしてた物だよ……。 でも、それはもう……、もう必要無いから……、捨てようとした物なんだ。 だから、悪いけど、唯……。 43
https://w.atwiki.jp/83452/pages/18255.html
急に自分の両肩から手を離した私を不審に思ったんだろう。 梓が首を傾げながら私に訊ねた。 優しい声で。 優しい瞳で。 優しい想いで……。 途端、私は自分がどうしようもなく汚らしい存在に思えた。 梓に心配される資格も、支えられる資格も私には無い……。 胸が張り裂けそうになるのを感じる。 少し気を抜けば、嗚咽が漏れ出してしまいそうだ。 自分で自分を殴り付けてやりたい衝動に駆られる。 だけど、私はそうはしなかった。 私が苦しむのは私のせいだ。私の自業自得だ。 私の胸の痛みなんて、重要じゃない。どうだっていい。 私なんて後で散々苦しんでしまえばいい。 でも、梓だけは……、 皆に翼をくれた梓だけは巻き添えにしちゃいけない。 私の卑しい下心で梓の未来と皆の未来を奪っちゃいけないんだ……! 私は何度か深呼吸してから、梓の頭に軽く手を置いた。 震える手のひらを隠して、精一杯の優しい声を出して言った。 出来る限りの偽物の笑顔を浮かべて。 「何でもないよ、梓。 ちょっとのぼせちゃったかなって思っただけだ。 でも、そうでもなかったみたいだから安心してくれ。 梓は……、何も心配しなくても大丈夫だよ」 梓はまだちょっと不思議そうな顔をしていたけど、すぐに頷いてくれた。 そうだよ、何でもない。 梓が心配する事なんて何も無い。 私が梓の未来を見つけ出すから。 安心して生きられるようにするから……。 だから……、梓は私なんかを心配せず、皆に笑顔を見せ続けてほしい。 私以外を、大切にしてほしい。 私も、絶対に大切にしてみせるから。 私以外の皆を、この身に代えても……。 ◎ ロンドンの夜、ホテルの屋上で人の生活の明かりがほとんど見えない街を見下ろす。 見える灯りは電力以外の動力で動いてるらしい灯りと、私達の灯してる物だけだった。 風呂から上がって、夕飯を食べると、皆はすぐに床に就いた。 毎日疲れてるし、電気があんまり使えない状態で夜更かし出来るほど、皆の神経は図太くなかった。 私だってそんなに図太い神経をしてるわけじゃない。 それでも、今日だけは一人で夜の風に吹かれていたかった。 だから、私は一人で屋上に上がったんだ。 秋なんだか冬なんだか分からないけど、ロンドンの夜の風は冷たかった。 大した冷たさじゃないけど、今の私なら心まで冷え込んじゃいそうだ。 念のため、ライブの衣装として身に着けてた高校の制服を着込んではいる。 体調を崩したり、風邪になったりするわけにはいかないからな。 これから進んでいくためにも、誰かに心配掛けるような事があっちゃいけないんだ。 今度こそ、皆の未来を守る決心を揺るがさないためにも。 ロンドンの街並みを見下ろしながら、思う。 私は……、どうしようもない奴だ。 見返りを求めて、皆を守ろうとしてた。 皆の事を守るんだから、少しは誰かに寄りかかったって問題無いって思ってた。 それくらい許されるって、甘えてた。 誰かの温もりを求めるために、皆に頼るために、 その代償行為として、皆の未来を守る気になってたんだ。 最低だって思う。 自分でも分かるくらい、最低だ。 ああ、認めるよ。 私は寂しかった。 ずっとずっと、寂しかった。 閉ざされた世界に来て以来、寂しさでどうにかなりそうだった。 大声で叫んでやりたいくらい、取り残された孤独に心が壊されそうだった。 和達三人が居てくれた時は、まだ耐えられた。 八人だけ取り残された世界だけど、皆、それだけなら耐えられたんだ。 これ以上失う物は無いはずだって思ってたから。 だけど……、三人を失って気付いた。 失う物が無いなんて事は幻想だった、自分勝手な希望だったんだって事に気付いた。 これ以上酷い事にはならないって思いたかっただけなんだ。 そう思わなきゃ、生きていけそうになかったんだ。 そして、その希望は壊された。 三人の姿が消えて、五人だけ取り残されて、思う。 次消えるのは私かもしれないって。 私じゃなくても、誰がまたすぐに消えてしまってもおかしくないって。 残された五人が、五人のままで居られるなんて、もう奇跡みたいなもんなんだって。 だから、誰かに頼りたかった。 だからこそ、誰かに縋りたかった。 自分の中の喪失感と絶望感を、誰かの体温で消したかった。 心を人肌の温もりで満たしたかった。 身体を求める事で、孤独から目を逸らそうとしてた。 身体だけでも誰かの温もりを感じ続けたかったんだよ、私は……。 もっと悪い事に、私はそれを梓に求めた。 梓なら私を拒絶しないはずだって、心の何処かで思ってた。 唯にいつも抱き着かれてて、人肌の温もりに弱い梓なら、 私達の事を気遣ってくれて梓なら、私を受け入れてくれるはずだって思ったんだ。 自分でも分かるくらい、ひどい打算だ。 最低な……、打算だ……。 長い長い溜息が私の口から漏れる。 自分はあんまり利口な方だとは思ってなかったけど、こんなに最低だとも思ってなかった。 見たくなかった自分の姿を自覚させられて、心底嫌になる。 こんな私が皆を守るだなんて、笑い話にしかならない。 溜息を漏らす以外、私に出来そうな事は無い。 でも……。 今度こそ、と私は思う。 私は梓の優しい顔を見て、どうにか思い留まれた。 梓の未来を私の甘えなんかで、絶望と後悔に塗り潰しちゃうわけにはいかないって思えた。 梓の事が大切なら、今度こそ本当の意味で梓を、皆を守らなきゃいけないんだ、私は。 今度こそ……、間違えちゃいけない。 もう絶対に溜息なんか吐かない。 溜息を吐いてる暇なんかあるんだったら、皆の未来について考えるべきなんだ。 その未来に私の姿が無くたって、絶対に皆だけは笑顔で居させてみせる……! そのためには……。 私は制服のポケットの中に手を突っ込む。 さっき、思い出したんだ。 私がこれを持ってるって事に。 ポケットに入れた手の中に固い感触を感じる。 それを握り込んでから、私は自分の顔の前で手のひらを開いた。 手のひらの中には三つの小さな三角形……、ピックがあった。 和がほうかごガールズのマークを描いてくれたピック……。 純ちゃんと憂ちゃんと梓に渡すつもりだった……、 私達のバンドのピックだ。 色んな思い出が頭の中に浮かんでくる。 「人間は心の中に翼を持てる生き物だって私は思うのよ」 普段の姿に似合わず、ロマンチックな事を言って梓を励ましてくれた和の顔。 「ここはアレですよ? 「頑張る」じゃなくて、「一緒に頑張ろう」って言う所ですよ?」 照れくさそうにしながらも、優しい微笑みを浮かべてた純ちゃんの顔。 「りっちゃんって呼んでも、いいんですか? いいんでしたら、私も嬉しいです……!」 予想外に私と仲良くなってくれた、憂ちゃんの甘い笑顔。 他にも多くの思い出が私の中に蘇って来る。 皆で頑張ったバンド練習、ライブ前の高揚感、大切な私の思い出達……。 だけど……。 それを抱えながらじゃ、私はきっと前に進めないから……。 思い出を見つめながら進めるほど、私は強くないから……。 皆の未来を守れそうにないから……。 ぎゅっ、とピックを握り締める。 強く強く、最後に握り締める。 これが私からの、三人へのお別れ……。 私は腕を振り上げると、 一つ大きな深呼吸をして、 屋上から三つのピックを放り投げた。 ピックは 放物線を描いて ロンドンの闇の中に 吸い込まれていった。 ありがとう。 さようなら、私の大切な……、思い出。 ピックを放り投げた後、私は長い間、放心していた。 大切な物を自分から切り捨てた罪悪感。 これでよかったんだっていう満足感。 二つの想いが複雑に混ざり合って、 どうしたらいいのか分からず、夜の風に吹かれる事しか出来なかった。 ふと、私はもう一つ、大切な物がある事を思い出した。 ピックを入れていたのとは逆の方のポケットを探ってみる。 ……あった。 写真。 純ちゃんが撮った私と梓の写真……。 灯りがほとんど無くて、夜目だったけど、 その写真の中の私達は月明りでよく見る事が出来た。 自分で言うのも変だけど、本当に幸せそうな私達の笑顔……。 迷わず笑えてた頃の私達……。 胸の痛みを感じる。 息苦しくなって、居ても立っても居られない焦りを感じる。 思わず写真を両手で掴む。 親指に力を入れて、破り捨てようとして……、 それは出来なくて、私は写真をもう一度ポケットの中に仕舞い込んだ。 違う。 思い出を捨てられなかったわけじゃない。 この写真は梓の思い出だから、捨てなかっただけなんだ。 三つのピックの事を知ってるのは私だけだけど、 この写真を私が持ってるって事は梓も憶えてるだろう。 だから、私は梓の思い出を捨てる事はしなかった。 今は未来だけに進もうとしてくれてる梓だけど、 いつかは思い出に目を向ける余裕が出来る日も来るはずだ。 その日のためにも、この思い出だけは残しておいてやりたい。 梓には思い出が必要なんだから。 ……破り捨てなかったのは、それだけの理由だ。 不意に。 「こんな所でどうしたの、りっちゃん?」 屋上の扉が開いたかと思うと、柔らかい声が聞こえた。 振り返って声の方に視線を向けてみると、 そこには普段の髪型の眼鏡を掛けてないパジャマ姿の唯が立っていた。 その髪型が気紛れなのかどうなのかは分からない。 憂ちゃんに似せた髪型の方こそ気紛れだったのかもしれない。 でも、どっちでもよかった。 唯がどんな選択をしたって、私はそれを支えてやるだけだ。 私は軽く笑ってから、唯に言ってやる。 「おまえこそこんな所でどうしたんだよ、唯。 風邪ひくぞ?」 「むー……、私だってそんなに風邪ばっかりひかないよ、りっちゃん……。 じゃなくて、私、ちょっと目が覚めちゃって、 気が付いたらりっちゃんが居ないから捜しに来たんだよ。 やめてよ、りっちゃん……。 一人で何処かに行くなんて……、心配になっちゃうよ……」 月明りに照らされた唯の表情はとても不安そうだった。 そうだな……。 私の身の安否はともかく、唯達を心配させるのは私の本意じゃない。 私は小さく微笑んでみせてから、唯の方に駆け寄って口を開く。 「悪い悪い。 ちょっと夜風に当たりたくなってさ。 心配掛けて悪かった。もうしないよ、唯」 「本当……?」 「ああ、本当だ。約束する。 だから、そんな悲しそうな顔すんな。」 言いながら、手を伸ばして唯の頭を撫でる。 約束だ。唯が、皆が悲しむ事はもうしない。 悲しくて辛いのは私だけで十分だ。 唯の手を引いて、「戻ろうぜ」と耳元で囁く。 屋上の扉の中に入って、ゆっくり扉を閉める。 私の心の扉を閉める。 和、憂ちゃん、純ちゃんの思い出が入ってる心の扉に鍵を掛ける。 「……ごめん」 気が付けば私はそう呟いてしまっていたけど、 その言葉が唯の耳に聞こえてしまったかどうかは、分からない。 ◎ 澪と二人きりでロンドンの街を歩く。 ロンドンに転移させられてから七日目。 ここ三日連続くらい、私は澪と一緒にロンドンの街を探索している。 本当は唯とロンドンを回りたかった。 今まで避け続けてた唯の支えになってやりたかった。 だけど、それは出来なかった。 私が唯を避けてるからじゃない。 今度こそ、それは嘘じゃない。 唯が私を避けているからだ。 どうして避けられてるのかは分からない。 あの夜、ホテルの屋上で話をして以来、唯は私と視線を合わせようとはしなかった。 落ち着いて話をしようとしても、ムギか梓を連れていつの間にか何処かに行ってるんだ。 嫌われてしまったんだろうか……。 いや、唯はそう簡単に人を嫌うような奴じゃないはずだ。 人を嫌える奴じゃない。 色んな人を好きになっちゃう奴なんだ。 少なくとも、私の中では唯はそういう奴だった。 だったら……、どうして唯は私を避けるんだろう。 今の所、思い当たる事は何も無い。 避けられる憶えは無いんだよな……。 でも、多分、何かの理由があるはずだ。 私はそれを深く踏み込んで聞いちゃいけない気がしてる。 私だって澪とどうしても視線を合わせられない時があった。 誰だって何かの事情を抱えてる時があるんだ。 だから、唯が私と話したい時が来る時まで、待とうと思う。 それもあいつを支えてやるって事のはずだから。 ロンドンの外回りについては、 まだ心配してくれてるのか、何度か梓が私を誘いに来てくれた。 一緒に風呂に入った時、私の様子が変だった事に気付いてるのかもしれない。 気を遣ってくれるのは嬉しかったけど、それは断った。 梓の傍に居てまた自分が抑えられなくなるのが怖かったからだ。 梓の未来を私の勝手な行動で無茶苦茶にしたくない。 でも、それと同じくらい大きな理由がもう一つある。 梓の優しさを皆にも分けてあげてほしい。 私に前に進む翼をくれたみたいに、ムギや唯にも翼をあげてほしい。 梓の優しさを感じさせてあげてほしい。 そう思ったから、私は梓の誘いを断ったんだ。 誘いを断った時、梓は少し寂しそうな表情を浮かべたけど、 「最近、澪と二人っきりになる事も少なかったからな」って言うと、納得してくれた。 「仲の良い幼馴染みですよね。 正反対なお二人が仲良しだなんて、未だに不思議です。 それにしても、律先輩ったら意外と寂しがり屋だったんですね」って生意気な事も言いながら。 少し不本意だけど、それでもよかった。 澪と一緒にロンドンを歩いてみたいってのも、私の本音には違いなかったから。 「卒業旅行の時は時間が全然足りないって思ったもんだけど、 流石に一週間も回ってると、回る所も無くなってくるよなー……」 自転車に乗って、隣を走る澪に声を掛けてみる。 澪は少し苦笑して応じてくれた。 「そうだな、もう回り切ったって感じだよ。 それも仕方無いとは思うけどさ。 観光してるわけじゃないし、回るのはデパートやスーパーばっかりだし。 しかも、交通手段が自転車しかないから、回れる所も限られてくるからな……」 「交通手段が自転車だけってのは痛いよなー……。 ……いっそ、誰かの自動車を借りてみるか?」 「む、無理無理無理! 大体、誰が運転するんだよ! 誰も運転免許なんか持ってないだろっ!」 「いやいや、ムギは結構、運転出来るみたいだぞ? 教習所には通ってないみたいだけどさ、 執事の人に少しずつ教えてもらってるらしい。 私達とさ……、車で遠出するのが夢だって言ってた。 楽しそうだよな、車の遠出……」 「いや、確かに楽しそうだし、ムギの夢は叶えてやりたいけど……」 「それに私の運転だってかなりの腕前だぜ? おまえだって私のレースゲームの腕、知ってるだろ?」 「甲羅投げたり、ジャンプしたりするレースゲームと現実の運転を一緒にするなっ!」 「ごめん、冗談だよ、冗談」 自転車に乗りながらでも澪の拳骨が飛んで来そうだったから、先に謝っておいた。 こいつ……、どんな所でも反射的に私を殴って来るからなあ……。 それこそ吊り橋の上でも殴って来た事あるぞ、こいつ……。 まあ、その時、悪かったのは、 吊り橋の上で怖がる澪をからかった私だったわけだけどさ。 でも、私は自転車を停めて、真剣な表情を澪に向けた。 少しだけ先に行った澪も自転車を停め、私の方に振り返って言った。 「どうしたんだ、律?」 「車を運転するってのは半分冗談だったけどさ、半分は本気なんだよ、澪。 そろそろ本気で考えなきゃいけないって思うんだ。 このままロンドンに居るのか、他の街に行ってみるのか……ってさ。 それでもし他の街に行ってみるんだったら、必然的に車は必要になってくるもんな……」 私が言うと、澪も真剣な表情になって頷いた。 長い髪を横に流すと、口を開き始める。 やっぱり、澪だって考えてなかったわけじゃないんだ。 「そうだな、律。確かにそうだよ。 私もずっと考えてた。 このままロンドンに居ていいのか、違う街に行くべきなんじゃないかって。 それこそ、日本を目指すべきなんじゃないかってさ。 日本に戻ればさ……、確証は無いけど……、ひょっとしたら……」 それ以上の言葉を澪は言わなかった。 確証の無い言葉を続けられるほど、私達は希望を持ててない。 でも、澪が何を言おうとしてるのかは分かった。 日本に戻れば、私達の街に戻れば、和達が待っててくれてるんじゃないかって。 今も和達はそこに居るんじゃないかって。 そうだったら、どんなにいいだろう。 もう一度、三人と会えるんだったら、どんなにいいだろう。 唯達はどれだけ喜んでくれるだろう……。 勿論、確証なんて一つも無い。 和達が日本で待ってくれてる可能性は、きっと相当低い。 そんな気がする。 大体、日本までどうやって戻るってんだよ。 日本は島国だぞ? 自動車だけじゃどうやったって辿り着けない。 韓国辺りまで行って、船か飛行機でも操縦するか? それこそどうやって操縦するってんだよ。 いくら何でもムギだって船と飛行機を操縦するのは無理だろう。 どうやって戻れってんだ……。 それでも、このままロンドンに滞在する事が得策だとも思えなかった。 ずっとロンドンに居たって、少しずつ精神を擦り減らしていくだけだ。 永住する決心が出来ない限り、 いっそ当ての無い旅に出た方がマシな気もしてくる。 当てが無くても、少しでも前に進めるなら、そっちの方が安心は出来る。 だから、考えなきゃいけない。 私達は考えなきゃいけないんだ。 これからの自分達の生きていく道を……。 40
https://w.atwiki.jp/83452/pages/18246.html
◎ 更に数日後。 ほうかごガールズのメンバーで、 出来る事はやり切るくらいに練習した頃、音楽室の扉が急に開いた。 扉の先に視線を向けると、そこに立っていたのは唯だった。 「やったで、憂! お姉ちゃんはやったったんやでー!」 よっぽど興奮してるのか、何故かよく分からない方言を使って叫んでる。 残暑も厳しいし、扇風機もあんまり使えないから、遂に壊れたか……。 ……いや、ごめん、冗談だ。 唯は突飛な行動を取る奴ではあるけど、意味も無く突飛な行動を取る奴じゃない。 何か理由があるんだ。 それに唯がこんなに興奮する理由は私にも思い当たる。 「やったんだよ、憂! やっとね……! やっと完成したんだよ! 今すぐに憂に聴いて……って、あっ……」 方言こそ治まったけど、 興奮冷めやらぬ表情で唯が言葉を続けようとして、途中でそれが止まった。 見る見るうちに『やっちゃった……』と言わんばかりの表情に変わっていく。 「ど、どうしたの、お姉ちゃ……」 「待てよ、唯ーッ!」 「唯ちゃん、待ってー!」 憂ちゃんが訊ねようとした途端、 ドタバタした足音と澪達の声が遠くから聞こえた。 十秒も待つと、息を切らした澪達が唯の後ろから顔を出した。 「興奮し過ぎだろ! これはサプライズなんだって何度も釘を刺したじゃないか! 後でさり気無くライブの予定を訊くはずだっただろ!」 「そうよ、唯ちゃん! 新曲が完成したのが嬉しいのは分かるけど、って、あっ……!」 ムギが慌てて口を押さえたけど、言っちゃった言葉はもう取り消せない。 胸の前で手を合わせ、傍の唯と澪に向けて頭を下げる。 唯がおろおろと視線をあちこちに向け、 澪は怒っていいのか呆れていいのか分からないという感じの表情を浮かべていた。 何つーか……、いいチームだ……。 と言うか、私もこのチームに入ってるんだよな……。 傍から見てると、私達ってこんな感じなのか……。 嫌なわけじゃないんだが、何とも複雑だ。 澪達がサプライズでライブを企んでるんだろうって事は何となく分かってた。 だけど、新曲まで用意してたとは思わなかった。 道理でやけに時間が掛かってたはずだ。 正直、澪達の実力なら、 ほうかごガールズより先に練習が終わっててもおかしくなかったもんな。 私達と違って、昔取った杵柄ってのがあるわけだし。 それでも、私達よりも時間が掛かっちゃってたって事は、 つまりは新曲の準備に予想以上に手間取ってたって事なんだ。 しかし……、こういう時はどう反応するべきなんだ、私は。 新曲が単に完成したってだけなら、唯もいきなり音楽室に顔を出したりはしないはずだ。 新曲が完成して、練習も完全に終わったからこそ、 ライブの時を待ち切れずに駆け出して来ちゃったんだろう。 気持ちはよく分かる。 私だってライブは早くやってやりたい。 やってやりたい……んだが、 この状況でそれを言い出せるほど私も肝が据わってない。 どうしたらいいんだろうか……。 誰かが話を切り出すべきなのは分かってるんだけど、 やっぱ私が切り出すべきなんだろうなあ、部長なわけだし……。 空気が途轍もなく重いが、仕方ないか……。 大きく深呼吸をして私が話を切り出そうとすると、私より先に誰かが言った。 「じゃあ、今からライブをしましょうか、唯」 言ったのは和だった。 あっさりだな、オイ! まあ、和らしいか……。 と思いながら和に視線を向けると驚いた。 和が顔を紅潮させて、緊張した表情をしていたからだ。 そっか……。 和だってずっと待ってたんだよな……。 だから、誰よりも先に言い出してくれたんだ……。 ありがとう、和。 私は心の中だけで和にお礼を言って、 座っていたドラムの椅子から立ち上がってから宣言した。 「よっしゃ、善は急げだ! 今すぐ私達のバンドのライブを開催してやるぜ! これから準備するから、お客さん達も手伝ってくれよな!」 「おいおい、律……。 今すぐって早過ぎないか?」 少し戸惑った様子の澪。 戸惑う気持ちも分かるけど、今はそれを気にしない事にした。 今は勢いで進んでもいい時のはずだ。 私は口を尖らせて、澪に言ってやる。 「何だよー、澪は今からライブやるの反対なのかー?」 「だって、いきなり過ぎ……。 いや、いきなりでも別にいいよな。 皆、待ってたんだもんな……。 分かったよ、律。今からライブの準備をしよう。 唯もムギもそれでいいか?」 澪が納得するのも早かった。 澪の言葉に唯達も嬉しそうに頷く。 やっぱり、皆早くライブをやりたかったんだよな……。 私は梓、純ちゃん、憂ちゃん、和の順番で顔を見回していく。 四人とも嬉しそうな顔で頷いてくれた。 澪達も含めて、皆の気持ちは一つだってわけだ。 遂にライブの開催だ。 内輪以外に観客が一人も居ない寂しいライブだけど、そんな事は関係無い。 出来る限りの、やれる限りの演奏を響かせてやろう。 異世界なんだか、誰かの夢なんだか、 この閉ざされた世界と真正面から向き合うために。 ◎ ライブ会場は私達が三年の頃に使っていた教室に決めた。 講堂を使うって選択も悪くなかったけど、 観客がほとんど居ない状態で広い空間を使っちゃうってのも何だか寂しい。 それにこれは私達の新しい決意のためのライブでもあるんだ。 高校時代、最後に人前でライブをやった場所で、 新しい世界での最初のライブをやってやるってのも悪くないじゃん? 準備はほうかごガールズの皆でする事になった。 勿論、澪達も手伝ってくれようとしてたけど、それは私から断った。 私達の後で澪達がサプライズライブをするとしても、最初にライブを開催するのは私達なんだ。 お客様には手間になる事をさせたくない。 別に八人でやるような作業でもないしな。 前みたいに時間制限があるわけじゃない。 教室をライブ会場に変えるくらい、五人も居れば十分だ。 机を端に寄せて、楽器を配置するのはすぐに終わった。 簡単なもんだ。 一度やった事だし、前もライブ会場設立の指揮をしていた和も居るんだ。 作業が速いのは当然ってやつだろう。 そりゃすごくあっさりと教室はライブ会場に変わっていた。 少し、胸が高鳴る。 その鼓動が緊張からのものなのか、興奮からのものなのか、自分でも分からない。 ただ、胸が高鳴る。 深呼吸。 衣装に着替えながら、配置された楽器に目を向ける。 私のドラム。 梓達のギターやベース。 そして、和が弾くキーボード。 ちなみにキーボードは梓の両親の物を借りて来たものだ。 やっぱり和もムギのキーボードを借りたがらなかった。 私が菫ちゃんのドラムを使うのを遠慮したのと同じく、 和もムギの相棒のキーボードを使おうとは思わなかったらしい。 それは勿論、ムギ達のためではある。 人のパートや相棒を借りたり奪い取ったりなんて、そんなのはしちゃいけない事だ。 絶対にしたくないし、私はされたくない。 例えムギ達が気にしないと言ってくれても、絶対に。 そして……。 二人の楽器を借りなかった理由の中には、私達の重要な信念も含まれていた。 私達は助っ人だけど、誰かの代わりじゃない。 最初は菫ちゃんの代わりを務められればそれでいいって思ってた。 わかばガールズの手助けが出来ればそれでいいと思ってた。 だけど、皆でセッションしてて、気付いたんだ。 私は菫ちゃんの代わりにはなれない。 和もムギの代わりにはなれない。 梓達もそれを望んでないんだって気付いたんだ。 私達は誰かの代わりになるんじゃなくて、 私達だから出来る新しい演奏を皆に届ければいいんだって。 放課後ティータイムじゃなく、わかばガールズでもなく、 新ユニットのほうかごガールズとして。 「よっしゃ!」 衣装に着替え終わった後、私は軽く自分の頬を叩く。 気合は十分。やる気も十分。 実力も……、多分、十分。 さて、やってやろう! やってやろうじゃんか! 不意に。 梓が私を見つめてる事に気が付いた。 衣装と私の顔を交互に見ながら、何とも複雑そうな表情を浮かべてる。 「……何だよ、梓」 じろりと梓の顔を見つめて言ってやる。 すると、梓が躊躇いがちに口を開いて答えた。 「本当にその衣装でよかったんですか……?」 「何言ってんだよ、おまえだって同じ服着てるだろ」 「いえ、そりゃ私は問題無いですよ。 いつも着てる服ですし、着慣れてますから、 私達のライブにはぴったりの衣装だと思います。 でも、律先輩とがその服を着るのはちょっと……」 梓が言うその服ってのは、桜高の制服の事だった。 実家に片付けてたのを引っ張り出して来たやつだ。 パッと思い付く私達のライブ衣装って言ったらやっぱりこれだからな。 制服が私達の戦闘服ってやつなんだ。 さあ、どこからでもかかって来い。 まあ、梓が言おうとしてる事も何となく分かる。 女子大生が高校の頃の制服を着るのはどうかって言いたいんだろう。 梓の気持ちはよく分かる。 半年前まで普通に着てたはずなのに、 久々に高校の制服に袖を通すのは何だか恥ずかしい。 スカートもこんなに短かったっけ? って本気で思う。 だけど、そんな恥ずかしさよりも、 梓とまた同じ衣装を着る事が出来たって事が嬉しかった。 そもそもサプライズライブをやるつもりではあったけど、 流石に制服で乱入するつもりはなかったからな。 それこそ下手すりゃ、 一生梓と制服でライブをする事なんて無かったかもしれない。 そう考えると不思議な感覚になって来るよな。 勿論、こんな異常事態を歓迎してるわけじゃないけどさ。 だから、私は開き直って、梓の頭をぐりぐりと撫でてやった。 意外に気持ち良いのか、梓が目を細める。 「いいじゃんか、梓。 これが私達の戦闘服なんだ。 最高のライブをやってやるには、それに相応しい服を着てやらなきゃな。 制服着たら、それいけりっちゃんはいつだって元気百倍なんだぜ!」 「そうですか……。 律先輩がそうおっしゃるんでしたら、私はそれでいいんですけど……」 言ってから、梓が微笑む。 梓も私と同じ衣装でまたライブが出来る事を、嬉しく感じてくれてるのかもしれない。 妙な巡り合わせだよな、本当に……。 と。 急に梓が口元に手を当てて笑った。 今度は微笑んだわけじゃなくて、心底面白くてしょうがないって表情だった。 「それにしても……。 女子大生が高校の制服とか……、ぷっ!」 ……卒業してから、こいつの態度が余計に生意気になってる気がするのは気のせいか? 正直、私の事を先輩とは思ってない気がするぞ……。 「中野ー!」と普段通り絡んでやろうかと思ったけど、何となくやめておいた。 今回ばかりは梓の突っ込みが正確だった気がしたからだ。 まあ、たまには許してやるか。 でも、それはそれで逆に梓を不安がらせちゃったみたいだった。 私としては何となく絡まなかっただけなんだけど、 私の突っ込みを待っていたらしい梓は、急に上目遣いで寂しそうな表情を浮かべていた。 め……、面倒臭い奴だなあ……。 だけど、別にそれは嫌じゃなかったし、逆に嬉しかった。 四ヶ月以上遠く離れていたけど、梓は私の事を忘れないでいてくれたんだよな。 傍に居ても、私が普段通りの行動を取らないと寂しがるくらいに……。 今になって、それを実感する。 こうなると、ちゃんと絡んでやらなきゃな。 でも、今更梓に突っ込むのも間が抜け過ぎていた。 はてさて、どうするべきか……。 ちよっと困って周りに視線を向けてみると、 丁度、私と同じく制服姿に身を包んだ和の姿が私の目に入った。 梓の頭を軽く叩いて、和の方に視線を向けさせる。 苦笑を浮かべて、寂しそうな梓に言ってやる。 「ほら、見てみろよ、梓。 和だって女子大生なのに高校の制服を着てんだぞ? あれはいいのかよ?」 私に言われ、梓がまじまじと和の姿を見つめる。 しばらく鑑賞した後で満足したのか、わざとらしく肩をすくめた。 「和先輩はいいんですよ。 元生徒会長なんですから、高校を卒業した後も制服に袖を通す事は多いはずです。 特に優等生ってわけでもない律先輩が、 女子大生にもなって高校の制服を着るって事が変なんですよ。 何かいかがわしい邪な陰謀が関わってる気がしてなりません……!」 「中野アズラエルー!」 そこまで言われちゃ絡まざるを得ない。 梓を寂しがらせないためにも、 先輩をからかいまくってる生意気な後輩を懲らしめるためにも、 今度こそ私は梓に大声で掴み掛かってやった。 勿論、身体に掴み掛かったわけじゃなく、掴んだのは梓のツインテールだ。 残暑厳しい事もあって、まだ梓の日焼けは治ってない。 特に昨日は梓が食糧調達の当番だったからな。 そんなヒリヒリする身体を酷使してやれるほど、私は鬼先輩じゃない。 梓のツインテールを両側で引っ張ってやる。 私はツインテールが結べるほど長い髪にした事は無いけど、 何回かツインテールにした事のある澪の話によると、 両側で引っ張られると脳が半分に割れるような感覚がするらしい。 それは流石に大袈裟な言い方だろうけど、 つまり殺傷力は低く苦痛は大きめって事なんだろうな。 「きゃー、すみません、律先輩……! いたいいたい……!」 痛いのか嬉しいのか、何とも言えない声を上げる梓。 それ自体は普段通りだったけど、やってて何だかむず痒くなってきた。 いつもやってるチョークスリーパーと違って、 最近やってた頭クルクルとも違って、 ツインテールを両側で引っ張るって攻撃は、攻撃される側の梓の顔がよく見えたからだ。 そして……、攻撃を受ける梓の表情が笑顔だったからだ。 何だよ……。 こいつ、私の技を受けながらこんな顔してたのか? 私が梓に技を掛ける度に、 特に純ちゃんと憂ちゃんが楽しそうな表情をしてたのは、そういう理由だったのか? 仲が良い先輩後輩だなあって、微笑ましく見てたって事なのか? うっわあ……、何だか物凄く恥ずかしくなって来たぞ……。 しかも、こいつの笑顔、すっごく嬉しそうだし……。 こんな恥ずかしさを感じるのは初めてだ。 自分で自分の顔が赤くなっていくのを感じる。 澪との絡みをクラスの奴らからからかわれた時とは比べ物にならないぞ。 多分、今まで気付きもしなかったって事が、余計に恥ずかしく感じさせるんだろうな……。 胸が高鳴るのを感じる。 緊張でも、不安でもない妙な鼓動……。 その鼓動にどう反応するべきなのか迷っていると、不意に小さな音が教室に響いた。 シャッター音……か? 音がした方向を探してみると、その場所はすぐに見つかった。 その場所では、純ちゃんが首から掛けたポラロイドカメラを手に持って、楽しそうな表情を浮かべていた。 「純ったら、もー! 勝手に写真撮らないでよー!」 私にツインテールを掴まれた状態で、梓が右手を上げて頬を膨らませる。 解放してやろうかとも思ったけど、 ちょっと嫌な予感がしたから、しばらくはそのままで居る事にした。 純ちゃんがポラロイドカメラから排出された写真を軽く振りながら、ニヤニヤと笑う。 「えっへへー、いいでしょ、このカメラ。 お父さんのなんだけど、この日のために家から持って来たんだ。 私達の新しい門出の日じゃん? やっぱしっかり写真に収めとかなきゃね!」 「凄いね、純ちゃん! それってとってもいい考えだよ!」 チューニングが終わったらしい憂ちゃんが、ギターを置いて純ちゃんの隣に駆け寄って言う。 和もやる事が終わったのか、その更に横に陣取って微笑んだ。 31